VOICE of PR Planner (2013年5月)
広告側の一PRプランナーとして。
(株)電通テック コミュニケーション・ビジネス開発室
プランニングディレクター
長竹 直哉
(株)井之上パブリックリレーションズの尾上玲円奈さんからのご紹介で、当リレーエッセイを引き継ぎました、(株)電通テックの長竹直哉と申します。私の場合、広報・PRはコア業務ではなく、特殊な事情もあるのですが、自己紹介を兼ねつつPRプランナー資格の取得に至った経緯を述べたいと思います。 まず大学卒業後にマーケティングリサーチ会社へ就職し、しばらくブランドアセスメントなどに従事していましたが、徐々にブランドイメージを抽出する側ではなく、むしろ新たなイメージを構築する側への関心が高くなり、コピーライターに転身しました。 その後、ストラテジークリエーティブを担う形で映画の宣伝プロモーションに携わるようになるのですが、コミュニケーションの設計上、必然的にPRにも関わることになります。そこへ首尾よく資格認定制度が開始されたため、取得を決意したという次第です。マーケティングやブランディングの基本的な知識はありましたし、パブリックリレーションズの一手段に過ぎませんが、パブリシティについての多少の心得もありましたので、これを機に体系的に学んでスキルを可視化したいと考えたのが直接の動機で、2008年に取得しました。 資格の取得を通じて得られたことは大きく二つあります。一つは学んでいく過程で改めてパブリックリレーションズの重要性や可能性を認識できたこと、もう一つは交流会を通じて意識の高い多くの広報・PRパーソンと出会えたことで、彼らとは今も公私にわたってお付き合いさせていただいています。 言うまでもなく資格の取得はスタートに過ぎず、大切なことはそこで得た知見やネットワークをいかに発展させていくかですが、その点、定例の交流会やレベルに応じてさまざまなセミナーが用意されているため、人脈やスキル形成の面でも大いに役立っています。 以上が今日に至るまでの大まかな経過ですが、ここから先は、広告側の業界にいる一人のPRプランナーとして、エトランゼ的に思うことを。 周知のとおり広告業界も変革のさなかにあり、その領域はもはや媒体枠のセールスや広告・イベント制作に留まらず、クライアント企業のあらゆる経営課題、事業課題の解決を見据えるようになってきています。そのような環境変化のもと、PR業界の役割がますます重要性を増していくことは間違いないでしょう。言い方を変えれば、広告側には持ち得ないアドバンテージを有したソリューションやコンサルティングノウハウ(例えば政策リサーチやレピュテーションマネジメントなど)を提示する好機であり、それが一層のステータス向上へとつながっていくのだと思います。 企業や社会の課題解決のために最善の策を提供するという点においては、業界の垣根などは意味を成さなくなっていくのでしょうが、一方で「パブリックリレーションズ」というものが、真の意味で認知、理解されるようになれば、この国のあり方も変わると思います。協会の皆さまには引き続き業界の発展に取り組んでいただきたいですし、私も立場は多少違っても、PRSJ認定PRプランナーとして、パブリックリレーションズの本質を伝える伝道師の役目を全うしていきたいと考えています。 3回目となる次回はビルコム(株)の若きコミュニケーションコンサルタント、中堀那由太さんにバトンを渡します。どうぞお楽しみに。