参考問題(3次試験)

重要

  • システムの仕様上、解答欄で可能になるのは文章(テキスト)入力のみになります。文字修飾(太字・カラーなど)、行揃え(中央寄せなど)、見出し設定(インデントなど)、図形の挿入、表組みの機能はありません。また、問題文・解答欄の中でコピー&ペーストする操作もできませんので、受験準備にあたっては十分にご注意ください。
  • CBT記述式試験の 画面サンプルはこちら

| 課題A | 課題B(コーポレート課題) | 課題B(マーケティング課題) |

課題A: ニュースリリースの作成

実用ロボットの開発・製造を行うロボトロニクス株式会社(解答では「ロ社」あるいは「R社」と略して記述してもよい)では、日本で初めての電動車椅子型ロボット「LADYBUG(レディバグ)<てんとう虫>」を新たに発売することとなった。同社の新事業開発部からヒアリングした下記の情報に基づき、広報部として 2021年7月22日(木)に一般紙の経済部向けのニュースリリースを配信することとなった。ニュースリリースのフォーマットは下記のとおりとする。各問に答え、ニュースリリースに必要な要素を完成させなさい。

問1 ニュースリリースの見出しを記しなさい。
問2 ニュースリリースのリード(書き出し)を記しなさい。
問3 ニュースリリースの本文を記しなさい。(箇条書きでも可とする)

【新事業開発部からのヒアリングメモ】

「きっかけは 2018年度に厚生労働省が行った介護報酬改定。「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」をテーマに設定している。これは、政府の未来投資会議で示された「要介護になった人を、もう一度自立状態に引き戻す」ことを目的とした介護を指している。」

「新事業開発部でも、この分野には前から技術開発に取り組んでいたところで、さっそく介護用の商品開発に本格的に取り組んだ。
ポイントは介助者・被介助者双方の負担を減らすこと。“少しでも自立した日常生活を過ごせるように” をコンセプトに、少子高齢社会の中で、介助者・被介助者双方の負担を減らし、誰もが暮らしやすい社会を実現したいとの想いで開発した。」

「開発にあたっては、メカトロニクス分野で先進的な研究をしている、名古屋工科大学工学部電子機械工学コースの知見を十分に生かしていくために共同開発とした。目指したのは「ロボットと車椅子の融合」を実現すること。これにより、従来の車椅子の常識を変える次世代型の車椅子型ロボットが完成した。」

「車椅子への移乗が介助なしで行え、手洗い・料理など前かがみの動作が簡単に行えるので、車椅子生活でも負担を軽減することが可能になり、これによって、精神的に前向きな生活が送れることを目指している。」

「介助なしで移乗できるポイントは、従来の車椅子のように前方から「座る」形式でなく、後ろから「乗る」形式へと発想を転換したこと。特別な移乗機器や抱きかかえ移乗が不要となり、自らベッドや椅子、トイレの便座等へ体の向きを変えずに移乗がスムーズにできる。
ジョイスティックやスマートフォンで遠隔操作ができるので、一人でできる動作が増えることから、質の高い生活を実現するための自立・移動を補助できる。
本体に搭載されたカメラとセンサーにより、障害物を判断・記憶するので、構造物や家具などとの衝突を避け、移動がスムーズに行える。
搭乗者の姿勢が容易に変えられ、洗面・手洗いや料理など、前かがみの作業が車椅子に乗ったまま楽にできる。」

「ネーミングは、てんとう虫をイメージしたデザインから、てんとう虫を英語で表記した LADYBUG(レディバグ)とした。」

「販売価格は 660,000円(非課税)とする。レンタルで利用する場合は、月額約30,000円程度、介護保険を適用した場合は同約5,000円を想定している。商社の株式会社ケアビックコーポレーションが総代理店となり、当面は日本国内で販売する。2021年10月1日(金)から販売(受注)を開始するが、最初の出荷は 2022年1月を予定し、初年度となる 2022年3月末までの販売台数は、1,000台を見込む。すでに、住宅型有料老人ホームを運営する「ロイヤルケアハウス」が、50台の発注をしてくれている。」

「今後、公道での使用や車への搬入を可能にするため、分解を容易にしたり軽量化を進めるなど、技術の改善や機能の向上に努めていく。」

【ニュースリリースのフォーマット】

 

参考解答例はこちら

 

課題B: 広報・PR計画の立案作成 (コーポレート課題)

株式会社志学ゼミナール(本社:東京都渋谷区)は、「自分で考え自分で学ぶ。失敗してもあきらめない。何度でもチャレンジ!志が未来を切り開く。」を教育理念とした、国内大手の学習塾運営会社である。
全国の「志学ゼミナール」では、秋学期(9月~)選抜コースの募集キャンペーンを7月から開始した。今回はイメージキャラクターとして、人気アイドルグループ「SBY(しぶや)48」を起用し、自社のWebサイト、SNSアカウントや、パンフレット、チラシ、ポスターに加え、テレビCMを活用する大型キャンペーンを行う方針であったが、キャンペーンの開始直後、週刊誌に「SBY48」の中心メンバーが過去に行った不適切行為が記事として掲載された。
上記に関する以下の経緯と情報をもとに、志学ゼミナールとしてのあり方を勘案しながら、同社が実施すべき今後の広報・PR計画について各問に答えなさい。

問1 これまでの経緯をふまえた現状分析と、自社ブランドに与えるリスク要因について整理して記しなさい。

問2 対応の基本方針について、各案のメリットとデメリットを整理し、最も望ましいと思われる方針を提案しなさい。

問3 基本方針に基づいて必要となるコミュニケーション施策をステークホルダー別に記しなさい。

問4 上記以外に検討すべき要素があれば記しなさい。


【経緯】

7月15日
●『週刊マンデー』に「SBY48の中心メンバー山吹葵(23歳)が、大学生時代、六本木の有名なキャバクラでアルバイト、著名な若手IT社長とあきれた社会勉強」との記事が掲載された。記事は、以下のように、彼女が未成年であったことを問題視している。
●「2015年6月、山吹葵は21歳の大学3年生と称し、店舗内での飲酒・喫煙やIT業界の若手経営者たちとの派手な交遊など、素行不良な様子が知られていたが、実は彼女は、当時は未成年(20歳未満)であった。いまをときめくアイドルの、とんだ過去の一幕である。」

7月16日
●志学ゼミナール本部の教育企画部、広報部、法務部と、今回のキャンペーンを扱う広告代理店、およびSBY48が所属するタレント事務所の担当者が集まり、対策会議を実施した。タレント事務所によれば、「山吹葵」本人は当時、実は未成年であり、生活上の事情から該当店で週何日か働き、飲酒・喫煙したことも認めている。ただ、IT業界の若手経営者と知り合いにはなったが、不純交遊は否定しているという。
●週刊誌掲載後、ネット上では大きな話題となり、人気アイドルグループのイメージにかかわるスキャンダルとして、中学生・高校生を中心にSNSで炎上状態となっている。擁護的な意見もあるが、現在のところアンチ山吹派による攻撃的なコメントが多数である。

7月17日
●各テレビ局のワイドショーや一部のニュース報道などで取り上げられ、さらに大きな話題となった。キャンペーン開始時に、各テレビ局宛に配布されたCMメイキング映像が番組内で取り上げられ、志学ゼミナールに通う高校生や親へのインタビューも放映された。親からは、「子供の教育上良くないのでは」「そもそも子供たちがスマホでSBY48の映像ばかり見ていて困っている」「塾のイメージにとっては悪いのではないか」などの意見が紹介された。

7月18日
●全国の志学ゼミナール教室に対して、親からのクレームが入り始める。「教室に張られているポスターを外すべきだ」「テレビCMは中止するべきだ」などの意見が多く、教室の責任者からは対応を求める声が本部に寄せられている。各教室は、本部と契約を結んだフランチャイズオーナーによって経営されている。オーナーごとに考え方は様々である。また志学ゼミナール本部には、「電凸」と言われるネット民からのクレーム電話が多数あり、山吹葵を使ったキャンペーンに対する批判が寄せられている。
●広告代理店やタレント事務所の顧問弁護士は、「広告代理店およびタレント事務所側には今回のタレント契約上、瑕疵はない。タレントも、現時点では飲酒等に関して法的な問題が問われる状況ではない」との見解を示している。
●上記の対策会議では、さらに状況を確認した上で、キャンペーンを一部自粛するかどうか検討することとした。またタレント事務所側では、山吹葵自身による釈明会見を検討するが、その際は、謝罪の有無、コメント内容、などはスポンサーである志学ゼミナールの要望を最大限尊重するとしている。

7月19日
●テレビ夕日の深夜番組において教育問題が討論された中でSBY48が取り上げられ、アイドルの素行不良に苦言を呈する風潮の中、教育評論家の保木氏(通称:ホギママ)は教育分野における多様性に触れ、山吹葵を擁護した。また国会議員も、教育問題に取り組む立場で「今の状態は集団いじめ」と発言した。この放送をきっかけに、SNSでは「山吹葵擁護派」のコメントが多数発信され、二度目の炎上状態となった。

7月20日
●夕刻より、志学ゼミナール本部では対策会議が予定されている。
●広報担当から現状分析、今後の対応方針、複数の対応策、各案に関するメリット・デメリットとそれに伴う具体的な広報・PR方針が提案され、論議されることになっている。

7月20日に開催する対策会議に、広報担当から提出する資料のポイント】

①現状分析と自社に与えるリスクの整理
・これまでの経緯をふまえて現状分析を行い、自社ブランドに与えるリスク要因について整理を行う。

②対応の基本方針
・「1. キャンペーンを継続する」、「2. キャンペーンを中止する」、「3. キャンペーンを部分的に縮小する」の3つが考えられるが、各案のメリットとデメリットを整理し、広報視点から最も望ましいと思われる方針を提案する。

③方針提案に即したコミュニケーション施策案の準備
・ステークホルダーに発信するキーメッセージの内容
・コミュニケーションプラン(ステークホルダー別の方法、タイミングなど)の策定

志学ゼミナールの概要】 非上場企業

社 名 : 株式会社志学ゼミナール
本 社 : 東京都渋谷区道玄坂1丁目-×-×
資本金 : 3,120百万円(2021年3月末現在)
売上高 : 36,580百万円(2021年3月期)
設 立 : 1981年4月1日
社長名 : 代表取締役社長 田中一郎(42歳 2017年4月就任)
従業員数: 2,785名(派遣社員含む 2021年3月末現在)
事業内容: 学習塾(志学ゼミナール)の運営、
      大学受験予備校(志学ハイスクール)の運営、その他(出版等)
事業所 : フランチャイズ店を含め、国内486カ所で志学ゼミナール教室を運営(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、北海道、宮城県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県に展開)

参考解答例はこちら

 

課題B: 広報・PR計画の立案作成 (マーケティング課題)

ランニングシューズのメーカー、エクステンド・ジャパン株式会社(解答では「エ社」または「E社」と略して記述してもよい)は、自社のランニングシューズブランド「エクステンド」の売り上げ増を目指し、米国本社の創業50周年を記念した高機能ランニングシューズ「エクステンド・ブレイクスルー・アルティメット(解答では「アルティメット」または「EBU」と略して記述してもよい)」を、2021年3月に発売する。また、同じ2021年3月に、東京都港区北青山のいちょう通り沿いに、同社の直営ブランドショップ「エクステンド神宮外苑」(解答では「ショップ」と略して記述してもよい)をオープンさせる。

エクステンド社は、1970年に創業した米国のランニングシューズ専門メーカーである。“記録を伸ばし、ともに成長する” をブランド・スローガンに、20代~30代の若い層を中心にランニング愛好者の支持を集めており、高い機能性と躍動的なカラーデザインによって「チャレンジするランナーのためのシューズ」という世界観を構築してきた。現在、世界50カ国以上で展開し、ランニングシューズのカテゴリーではトップ5の一角に入っている。

しかし、これまで日本国内では海外での実績やブランド力を活かせず、国内のマーケットシェアは米国や欧州の水準を大きく下回っている。
エクステンド社は、日本をアジアの重点地域としてマーケティング強化を打ち出している。2021年を初年度とする中期計画を策定し、2026年までに、国内シェアで上位を占めるN社、As社、Ad社と肩を並べるポジションを獲得していきたいと考えている。特に週1回以上走っているランナー向けの高価格帯商品では、トップブランドの地位獲得を目論んでいる。

パフォーマンス向上を目指すランナーにとって、大きな課題はケガと故障の予防である。「ジョギングをやめるランナーの約6割がケガを理由にしている」ことから、エクステンド・ジャパンでは、ランナーに合ったシューフィッティングとランニングサポートサービスで、競合ブランドとの差別化を図っていく方針である。そのシンボルとなるのが、2021年3月にオープンする「エクステンド神宮外苑」である。米国から招聘した専門のシューフィッターが顧客の足の形状や筋肉の質、目標タイムに合わせて最適なランニングシューズを提案し、フィッティングを行う。また、ランニングステーションを併設し、パフォーマンス向上を目指すランナーのランニングサポート拠点として機能させていく。

ついては、上記の説明と以下の参考データをもとに各問に答え、ランニングシューズブランド「エクステンド」の浸透を図るマーケティング広報・PR計画を作成しなさい。

問1 今回の広報・PR計画の概略を簡潔に記しなさい。

問2 今回の広報・PR計画におけるコミュニケーション・ターゲットと各ターゲットへの基本戦略を記しなさい。

問3 今回の広報・PR計画のコミュニケーション・コンセプトと具体的な施策案を記しなさい。

問4 今回の広報・PR活動のスケジュール展開、各施策の予算配分を記しなさい。

問5 上記以外に施策アイデアがあれば記しなさい。


なお、この計画で推進するマーケティング広報・PR活動の役割は、以下の3つである。

①2020年春夏シーズンの新製品「エクステンド・ブレイクスルー・アルティメット」の製品PRを通じて、「より早く、より長く、より安全に走ること」をサポートする当製品の特性を認知させていく。

②ブランドショップ「エクステンド神宮外苑」の取組みと店舗PRを通じて、ランナーをサポートし、ケガを防ぐことを重視するエクステンドのブランド理念を認知させていく。

③現在コアユーザーとなっている20代~30代の若い層だけでなく、40代以上の新規エントリーユーザー層を獲得していく。

対象期間は、2021年1月~2021年12月の1年間(計画の作成時期は 2020年12月)とする。なお、米国エクステンド社とエクステンド・ジャパン社は、いずれも2021年開催の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、スポンサー契約を行っていない。

広報・PR予算は 8,000万円を目途として組み立てる。メディア・リレーションズ業務にかかる費用、広報・PRイベント実施費用、ネットプロモーション費用は、その中に含めるが、広告予算、販売促進予算は別途とする。

【エクステンド・ブレイクスルー・アルティメットの製品概要】

●製品名    : エクステンド・ブレイクスルー・アルティメット
●販売価格   : オープン価格(参考価格 25,000円(税込))
●製品発売時期 : 2021年3月
●販売目標   : 2021年度(2021年3月~2022年2月)において日本国内で5万足
●販売チャネル : 直営ブランドショップ、シューズセレクトショップ、ネット通販

●特長     :

①実証データに裏付けされた高機能素材の採用により、「軽量性・クッション性・反発性・ホールド性・耐久性」の5つの機能を共存させたシューズ設計と、ランニングの楽しさを表現した躍動感のあるデザイン。

②エクステンドブランドのフラッグ・シップ(最上位)製品であり、米国本社の創立50周年記念製品として、足首への負担を徹底的に低減し、「より早く、より長く、より安全に走ること」を目的に開発された。

③かかと部に3種のクッション材を採用し、足への衝撃緩衝性を高めている。また、前部にカーブ形状のホールド材を装着し、前部の硬度を高めることで、走行中の足首部の屈曲を抑える構造になっている。


【エクステンドブランド全体の特徴と販売計画】

①ランニングシューズの専門ブランドであり、創業以来一貫して “ランナーの記録を伸ばし、ともに成長する” というブランド・ミッションに基づき、ランニングシューズの開発・製造・販売を行っている。

②エクステンドブランドのもとに、3つのサブブランド (1) エクステンド・エアリアル(エントリー層向け)、(2) エクステンド・トライアングル(中級者向け)、(3) エクステンド・ブレイクスルー(上級者向け)を展開している。

③エクステンドのブランド全体で、2021年度に年間50万足の販売を日本国内で見込んでいる(2020年度の国内販売実績は21万足)。


【ブランドショップ「エクステンド神宮外苑」の概要】

港区北青山のいちょう通りに面し、店舗面積は約500平方メートルである。2021年3月1日(月)にオープンを予定しており、ブランドカラーのグリーンを基調に、木目調の床や什器を配した、明るく解放感のあるスペースとする。ランニングフォームを分析するコーナーや、米国から招聘した専門のシューフィッターによる最適なランニングシューズの選定とインナーソールのフィッティングを行う。またフィットネススタジオとランニングステーションを併設し、パフォーマンス向上を目指すランナーのランニングサポート拠点としていく。
エクステンド会員として登録を行うと、ランニングステーションの利用料が無料となるほか、様々な会員特典が得られる。

●シューフィッテング・サービス
①カウンセリング(ビジター、会員とも無料)
②オリジナルインナーソールの作製(有料)
③個人データの管理によるアフターケア(年間会員向けサービス:無料)

●ランニングフィットネスサービス(有料、会員割引あり)
記録を伸ばすこととケガをしない体づくりの両立を目指すランナーのための、コンディショニングプログラム

●ランニングステーション
設備   :<ロッカー> 女性:100個/男性:100個
      <シャワー> 女性:10機/男性:10機
      パウダールーム、トイレ完備
レンタル :シューズ、ウェア一式、タオル、スポーツウォッチ

年間会員費 10,000円(税込)
月間会員費 2,000円(税込)

参考解答例はこちら

 

※上記の社名、人名および関連データは、すべて架空のものである。