参考解答例(3次試験)

※以下の解答例はあくまで参考であり、合格基準に達する解答の一例となります。

| 課題A | 課題B(コーポレート課題) | 課題B(マーケティング課題) |

課題A: ニュースリリースの作成 参考解答例

問1 ニュースリリースの見出しを記しなさい。

ロ社、日本初の電動車椅子型ロボット「LADYBUG(レディバグ)<てんとう虫>」を発売
2021年10月1日(金)から受注開始

 


問2 ニュースリリースのリード(書き出し)を記しなさい。

実用ロボットの開発・製造を行うロ社(所在地:XX、代表:XX、以下ロ)は、車椅子への移乗が介助なしに行え、より自立した生活を送ることが可能な、日本で初めての電動車椅子型ロボット「LADYBUG(レディバグ)<てんとう虫>」を、2021年10月1日(金)から販売いたします。

 


問3 ニュースリリースの本文を記しなさい。(箇条書きでも可とする)

「LADYBUG(レディバグ)<てんとう虫>」は、「少しでも自立した日常生活を過ごせるように」をコンセプトに、名古屋工科大学工学部電子機械工学コースとの共同開発により生まれた、車椅子への移乗が介助なしで行え、手洗い・料理など前かがみの動作が簡単に行える次世代の車椅子型ロボットです。これにより、被介助者が精神的に前向きな生活を送れるようになるとともに、介助者の負担を減らし、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指します。

■ 製品特長
・「LADYBUG(レディバグ)<てんとう虫>」は、従来の車椅子のように前方から「座る」形式でなく、後ろから「乗る」形式へと発想を転換したことで、特別な移乗機器や抱きかかえ移乗が不要となり、自らベッドや椅子、トイレの便座等へ体の向きを変えずにスムーズに移乗できます。
・本体に搭載されたカメラとセンサーにより、障害物を判断・記憶するので、構造物や家具などとの衝突を避け、スムーズに移動できます。
・搭乗者の姿勢が容易に変えられ、洗面・手洗いや料理等、前かがみの作業が車椅子に乗ったまま楽にできます。
・ジョイスティックやスマートフォンで遠隔操作ができるなど、一人でできる動作が増えることから、質の高い生活を実現するための自立・移動を補助します。

現在は住居内専用の車椅子としての使用に限定していますが、今後、公道での使用や車への搬入を可能にするため、分解を容易にしたり軽量化を進めるなど、技術の改善や機能の向上に努めていきます。

販売価格:660,000円(非課税)
レンタル価格:月額約30,000円程度、介護保険を適用した場合は月額約5,000円程度を想定
販売エリア:当面は日本国内での販売を予定
販売(受注)開始日:2021年10月1日(金)※最初の出荷は2022年1月を予定
販売総代理店:ケアビックコーポレーション

販売目標台数:初年度となる2022年3月末までの販売台数は、1,000台を見込んでいます。

 

課題B: 広報・PR計画の立案作成 (コーポレート課題)

問1 これまでの経緯をふまえた現状分析と、自社ブランドに与えるリスク要因について整理して記しなさい。

■ 経緯
・秋学期選抜コースの生徒募集広告キャンペーン開始後2週間で、イメージキャラクターのタレント山吹葵の記事が「週刊マンデー」に報道される。内容は未成年時の飲食店勤務と交遊を問題視したもの。
・報道後、SNSで山吹葵に対するネガティブコメント多数。いわゆる炎上状態。
・事実関係をタレント事務所から聞き取り。未成年での飲酒・喫煙を認める。
・マスメディアで取り上げられ、当社CMメイキング映像が使われる。報道における生活者コメントは、子供に対する影響を心配するものなど当社に対するネガティブなものも見られる。
・全国の当社教室に対してキャンペーン中止を求めるクレームあり。(件数調査中)
・対策会議にて法的な問題(未成年飲酒などによる契約違反など)はないことを確認。
・キャンペーン中止の検討開始。
・SNSでは依然として話題が続いているが、ネガティブコメントから、SNSによる「祭り」状態への議論へ、焦点は変わりつつある。

■ 現状分析
・SNS、マスメディアともタレントへの攻撃から焦点を変えつつも話題は継続。
・過去のこととはいえ、未成年飲酒・喫煙というファクトに対する母親層に対するネガティブ・イメージは強く、中止を求めるクレームの存在は無視できない。キャラクターの画像・映像とともにリマインドされる可能性は高い。
・一方でタレントに対する擁護の論調もあるため、キャンペーン中止の場合は当社としての姿勢を理由とともに打ち出す必要がある。

■ 自社ブランドに与えるリスク要因(キャンペーン継続の場合)
・保護者から子どもを預かる事業を行っている当社にとって、過去のことであっても未成年飲酒・喫煙を看過するという不信感を抱かれる可能性。
・実際のクレームに対して誠実な対応を行わないというネガティブ・イメージ。
・「不誠実なタレントを起用してまで生徒を集める」というコミュニケーション姿勢に対して、ステークホルダー(教育評論家、学校関係者など)からのネガティブなイメージ喚起。

 


問2 対応の基本方針について、各案のメリットとデメリットを整理し、最も望ましいと思われる方針を提案しなさい。

1. キャンペーンを継続する

<メリット>
・あえて言えば、今回のスキャンダルを逆手にとって「自分で考え自分で学ぶ。失敗してもあきらめない。何度でもチャレンジ!志が未来を切り開く。」という教育理念との整合性をアピールすることで、知名度をアップできる。
・失敗に寛容など、プラスのイメージが会社に生じる可能性がある。一部の山吹葵ファンらからは、対応の良さについて感謝される。
・用意したWebサイト、SNS、パンフレット、チラシ、ポスターに加え、テレビCMなどがそのまま活用できる。
・タレントの契約金などが無駄にならずに済む。

<デメリット>
・いかなる釈明があったとしても飲酒・喫煙をしていたアイドルをキャンペーンで使うことは、保護者から子供を預かる当社として、学習塾としてのブランド力の低下が起こる。
・大学受験の志学ハイスクールへの影響など問題が広がる可能性がある。
・継続方針を喜ばない親などからの抗議が寄せられる可能性がある。
・フランチャイズオーナーからの抗議が予想される。
・SNSなどで、非難側からさらに炎上が起こるようなコメントが出てくることが考えられる。
・山吹葵のさらなるスキャンダルが暴かれた場合、さらに悪影響が広がる。

2. キャンペーンを中止する

<メリット>
・教育機関としてのブランド力の低下を食い止めることができる。見込み客離れ、親の信用低下などがまぬがれ、将来的な教育機関としての信用が保持できる。
・キャンペーン開始直後でもあり、一部で報道はあるものの、まだ世の中に「志学ゼミナール=山吹葵」のイメージが浸透していないので、キャンペーンを中止しやすい。

<デメリット>
・用意したWebサイト、SNS、パンフレット、チラシ、ポスターに加え、テレビCMなどが使えなくなり、その費用が発生する。また、それらを作り替えるためのコストが余分に発生する。
・タレントとの契約金などが無駄になる。
・フランチャイズオーナー、講師らから、本部の方針(キャラクター選定など)について、抗議が予想される。

3. キャンペーンを部分的に縮小する

<メリット>
・教育機関としてのブランド力低下を一部食い止めることができる。
・全面中止に比べ、当面のコストの無駄が少ない。

<デメリット>
・何をやめて何を続けるかの線引きが難しい。
・結局、イメージダウンにつながることや、SNSでの炎上などの警戒が最大限に必要になる。


■ 望ましい基本方針
保護者からのクレームという事業リスクだけでなく、中学生・高校生という未成年向けのサービスにおいて、未成年で飲酒・喫煙をしていたタレントを起用することは、誤った企業メッセージを出すことになり、今回のキャンペーンに限らず、中長期的に当社のブランドイメージを毀損する可能性がある。
中止と合わせて、自社の姿勢として、いかなる釈明があったとしても、飲酒・喫煙をしている以上、保護者から子供を預かる当社としては、当該タレントを起用したキャンペーンは即刻中止する。
ネガティブイメージを逆手に取るようなコミュニケーションは、当社のような教育に携わる事業では行うべきではなく、また部分的なキャンペーン縮小も問題解決に至らず長期化させる可能性がある。

 


問3 基本方針に基づいて必要となるコミュニケーション施策をステークホルダー別に記しなさい。

1. マスメディアへの発表:
当対策会議後、早急に緊急記者会見を設定し、各ステークホルダーに当社の姿勢と具体的な施策を示す。緊急記者会見終了後は、速やかにニュースリリースの配信、Webサイトでの発表をする。

<対象となるステークホルダー>
■ 社会全般
・教育事業を行う当社として、今回のSBY48メンバーのスキャンダルが、保護者、フランチャイズオーナーの皆様の不安につながることを勘案し、キャンペーンの継続は不適切と判断し中止する。
・今回の判断は、あくまで上記の理由によるもので、 山吹葵さんの過去を非難するものではなく、タレント事務所およびご本人からも了承を得ている。
・当社は教育理念「自分で考え自分で学ぶ。失敗してもあきらめない。何度でもチャレンジ!志が未来を切り開く。」を掲げており、山吹葵さんの今後のご活躍を心より応援している。

■ 受講者・保護者
・社会全般へのメッセージに加えて、今回の騒動を受けて、選抜コースへの不参加を希望される方々には、返金の対応を行う旨を発表する。

■ ネット住民など
・抗議電話の対策本部を一本化して対応。SNSなどの継続ウォッチ。

<記者会見概要>
対策会議での方針決定後、速やかに会場設定し、案内する。
出席者:当社担当役員・キャンペーン責任者
内容:
ⅰキャンペーン中止に関する現状説明・経緯の説明
・現状や経緯の説明
・「SBY48」を起用したCM中止、印刷物の回収等、広報展開の全面中止
・「秋学期(9月~)選抜コースの募集キャンペーン」の中止
ⅱ今後の対応策
・キャンペーン中止によるCM、ポスター、チラシなど販促物の掲載中止、回収
・代替となる秋期コース申し込みツールの早期展開計画など
ⅲ今回のお詫び
・当社の秋期コースを検討しようとしていた保護者・受講生の方へご心配、ご迷惑をおかけしたことのお詫び。また、今回の中止によって影響をこうむる関係者へのお詫び。


2. ステークホルダー別に必要な情報ルートを通して対策・善後策について説明を行う。

<対象となるステークホルダー>
■ 各教室責任者、従業員、講師
・ポスター、チラシなど掲出・配置の取り止め、回収。
・子供たちからの質問に答えるよう、想定問答を配布する。
・答えられない質問など、現場で対応が難しい事案について、対策本部に上げるよう徹底。

■ フランチャイズオーナー
・業績への影響が出ないよう、最大の配慮をしていることを説明する。

■ 監督官庁
・対策がまとまった時点で、現状を報告。指示があれば、速やかに対応する。

 


問4 上記以外に検討すべき要素があれば記しなさい。

(省略)※内容により加点要素となります。

 

課題B: 広報・PR計画の立案作成 (マーケティング課題)

問1 今回の広報・PR計画の概略を簡潔に記しなさい。

コアユーザーの20代から30代のランニング愛好者層から「信頼でき、長く付き合えるブランド」として認知してもらえるように、新製品とブランドショップが、ブランドコンセプトの 「より早く、より長く、より安全に走ること」を体現するものであることを訴求する。
導入時はプレスへの取材招致から会見、タイアップなどで話題化を図り、さらに継続的なWebやSNSにおけるインフルエンサー活用により、サブターゲットとなる40代ランニングエントリー層への波及も図る。


問2 今回の広報・PR計画におけるコミュケーション・ターゲットと各ターゲットへの基本戦略を記しなさい。

■ メインターゲット:
現在コアユーザーとなっている20代~30代のランニング愛好者

ランナーにとって一番避けなければいけないケガの予防のために、あらゆる面からのケアを行っていくブランドとしての訴求を行い、コアターゲットのランニング愛好者のランナー生活の長期化を図ることによって、ファンベースの安定的な拡大を図る。

■ サブターゲット:
40代以上の新規エントリーユーザー層

体力に自信がないライトユーザー層をコアユーザーに成長させるため、上記メインターゲットユーザーからのケガ予防に対するケアというブランド姿勢の口コミ波及により、「信頼でき、長く付き合えるブランド」としての認知拡大を図る。


問3 今回の広報・PR計画のコミュニケーション・コンセプトと具体的な施策案を記しなさい。

■ コミュニケーション・コンセプト:
「より早く、より長く、より安全に走ること」をサポートするE社のブランド姿勢を、新製品「EBU」及びショップによるランナーに対するトータルサポート、トータルケアで具現化していることについて、メインターゲット層を中心に理解・認識拡大を図る。

PRストーリー:
「もっと早く走りたい、もっと長く走りたい、もっと安全に走りたい。」
そんなパフォーマンス向上を目指すランナーの皆さん。
より良いパフォーマンスを目指すのであれば、ケガと故障を予防することが不可欠。
ランニングシューズブランド「エクステンド」は、皆さん一人ひとりのニーズと健康状態に応じた最適な一足を選び、より快適なランニングをサポートするサービスを開始します。
「エクステンド」でより良いランニング体験を!

■ 具体的施策1:
「EBU」の新発売とショップオープンのタイミングでの集中的な露出獲得による製品・サービス認知の獲得。

・オープン前からの話題喚起施策の実施:
 PR調査「一般のランナーが走るのをやめてしまう理由について」

・施設などオープン前の取材プロモート:
 オープンのタイミングでメインターゲット向け媒体に発信。
 20~40代向けのスポーツ専門紙、20代~30代向けの女性誌、40代向けライフスタイル誌、スポーツ系専門Webメディアなど。

・製品発売・ショップオープン発表会の実施:
 コミュニケーション・コンセプトをキービジュアルに展開し、メディアへの早期のブランドコンセプト浸透を図る。

・Webサイトの開設:
 発表会のキービジュアルと連動し、ブランドコンセプトを伝える情報拠点とする。

■ 具体的施策2:
専門メディアでの情報発信やアンバサダー/インフルエンサーを通じた情報拡散による、「EBU」とブランドショップへの興味関心の喚起と製品・サービス、およびエクステンドブランドへの理解促進。

・SNS公式アカウントの開設:
 Instagram(20~30代ターゲット)、Facebook(30~40代ターゲット)にブランドの公式アカウントを開設し、
 製品・ブランドショップの利用体験や、ショップの日々の様子などを発信していく。

・インフルエンサー招聘体験会:
 30~40代女性に訴求力のあるインスタグラマーに、ブランドショップのサービスを利用してもらう体験会を実施し、
 インスタグラマー個人のアカウントから情報発信をしてもらう。

■ 具体的施策3:
メディア露出やWebサイトを通じた製品・サービス・ブランドへの理解促進と、ネット通販サイトへの誘導・利用促進。

・メディアの特集企画を狙った個別プロモート:
 20~40代向けのスポーツ専門紙、20代~30代向けの女性誌、40代向けライフスタイル誌、スポーツ系専門Webメディアなど。

■ 具体的施策4:
公式SNSアカウントやアンバサダー/インフルエンサーからの情報発信による、製品・サービス・ブランドへのエンゲージメント醸成。

・雑誌タイアップ:
 ショップの利用体験を中心とした記事広告を出稿。
 20~40代向けのスポーツ専門紙、20~30代向けの女性誌、40代向けライフスタイル誌など。

・アスリート・アンバサダーによる情報発信:
 レジェンド40代アスリートなどをブランドの公式アンバサダーに任命。
 「EBU」でのランニングやブランドショップの利用体験を、SNSアカウントを通じて情報発信してもらう。


問4 今回の広報・PR活動のスケジュール展開、各施策の予算配分を記しなさい。

■ スケジュール

2021年1月:
・調査PRの実施
・メディアプロモート(2021年12月まで随時)
2021年2月:
・メディア向け内覧会
・Webサイトオープン(ティザー含む)
・リリース発信
・インフルエンサー招聘体験会
2021年3月:
・製品発売・ブランドショップオープン発表会
・SNS(Facebook/Instagram)運営(2021年12月まで随時)
2021年6月:
・雑誌タイアップ
2021年7月:
・アスリート・アンバサダーによる情報発信(2021年12月まで定期的に)
2021年10月:
・東京マラソンアンバサダー

■ 予算

(1) 広報・PR事務局運営(PR会社とのリテナー契約、メディアプロモート費用含む):1,800万(月150万×12か月)
(2) PR調査:100万
(3) リリース作成・配信:100万
(4) Webサイト構築・運営(初期費用+運営費):1,400万
(5) SNS公式アカウントの運営(Facebook/Instagram):500万(月50万×12か月)
(6) 内覧会/製品発売・ブランドショップオープン発表会:2,000万
(7) インフルエンサー招聘体験会(投稿費用込) :400万
(8) 雑誌タイアップ:800万(1本200万×4本)
(9) アスリート・アンバサダーによる情報発信:400万
(10) 東京マラソンアンバサダー:500万

合計:8,000万

 


問5 上記以外に施策アイデアがあれば記しなさい。

(省略)※内容により加点要素となります。