VOICE of PR Planner (2016年7月)

「為せば成る」 ~メディアの論調も変えられる~  

青山商事(株)

磯野 猛

  はじめまして。青山商事㈱で広報室室長代理をしております、磯野 猛と申します。 弊社の広報室は、「洋服の青山」や、総合リペアサービス事業の「ミスターミニット」ほか、印刷・メディア事業、飲食事業など、グループ会社27 社全体の広報業務をミッションとして活動しています。 「PRプランナー」としての初仕事 「ニュースソース」を持ち込むだけなら誰でもできる。情報戦で勝ち抜き、他社よりも一歩前に出るには「ニュースプラン」を提案できる人になるべき。―そう考えた私は、早速「PRプランナー資格」を取得し、名刺にも明記しました。 2014年9月、経団連は新卒採用の選考開始時期を 4月から8月へ移行すると発表しました。このことは社会的な動向であるためマスコミ各社が競って報道。 8月といえば真夏の猛暑です。「当社の面接にはクールビズスタイルで来てください」と呼びかける企業や、「就活スーツ着ません宣言」を発令する地方の大学も現れました。 さらに、就活スーツを着て活動する学生を「主体性や多様性に欠ける」「カラス軍団」などと非難し、「脱スーツ」を推奨する論調が増えていきました。某経済誌では「スーツ需要減少で大苦戦」との見出しで当社を取り上げ、ネガティブな記事を掲載。 「論調」はその真偽にかかわらず、不可逆性を強めながら一方向に傾く傾向があります。日本一就活スーツを販売する当社にとってはまさに死活問題です。 こうした論調を目の当たりにし、私は思いました。「この論調の中に当事者である就活生の意見や考えがまったく見当たらない。当事者不在の無責任な議論は学生を惑わせるだけだ。そもそも、暑いからといって人生をかけた大事な面接でスーツを脱いで軽装で臨めるのだろうか」と。 そこで、1,000人の就活生に緊急アンケートを実施したところ、85%もの学生が「夏でもスーツを着て面接に臨む」と回答。しかも、「多様性に欠ける」のではなく、「第一印象」で勝負をかけるための「戦略」としてあえてスーツを着ることが判明しました。 私は大急ぎで「就活スケジュール変更に伴う動向について」という報道用資料を作成し、全国のテレビ局、新聞社を訪問することを決意しました。が、「企業のいち広報マンが回ったところで簡単に報道されるものではない」と社内外から反対される始末。確かに、全国を回り報道されなければ、単なる「旅行」になってしまう。しかも会社の経費で。 でも、「必ず大きな露出を勝ち取ってきます!」そう言い切っている自分がいました。 「PRプランナー」としての自負と誇りが背中を押してくれた瞬間でした。 3回に分け、実働64日間で北海道から沖縄まで、161件(新聞社66件、テレビ局95件)を訪問し、報道部長等の方々と面会。就活に関する論調の是正や当社への取材を要請しました。 その結果、全国で138件(新聞69件、テレビ69件)もの報道がなされ、内94件は店舗への取材・ロケによる報道でした。しかも、その内容は「就活は、夏でもスーツ着用が主流」「第一印象で勝負」「夏でも涼しいスーツが好調」とか、真夏に奮闘する就活生を応援する内容へと、論調が180度変わっていったのです。 なかには、「こうして全国を回る広報マンの行動自体がニュースです。あなたの情熱に応えたい」と、私自身を取り上げる新聞(4紙)があるほどの反響でした。 「為せば成る」。米沢藩第9代藩主で領地返上寸前の米沢藩を再生させた名君、上杉鷹山の言葉です。 「現状を変えたい、マンネリ化を打破したい、でも何をしたらいんだろう」。そう悩んでいる広報パーソンは少なくないはず。「PRプランナー資格取得への挑戦」こそ、その第一歩であり、現状打破への起爆剤になると確信します。 自身の広報スピリッツを変え、行動を変え、さらにはメディアの「論調」までをも変える原動力になったのですから。