VOICE of PR Planner (2018年6月)

「働き方改革」と広報業務

株式会社バンダイナムコアミューズメント
小野 薫

はじめまして、小野と申します。今年の4月1日に株式会社ナムコから社名変更した「バンダイナムコアミューズメント」という、業務用アミューズメント機器の製造販売と、テーマパークや直営アミューズメント施設を全国に約250か所運営する会社で、企業広報・秘書業務部門と顧客対応・品質管理部門のマネージャーをしています。PRプランナー歴は丸9年です。

広報の仕事について、私はずっと「“媒体の時計の針”にどれだけ合わせられるかが広報成果に直結する」と教えられてきました。とは言え「働き方改革」が叫ばれる今日、私の部門もいかに効率化を図り、生産性を高めるかが求められています。

おかげさまでここ数年新規施設の出店が増え、媒体様の依頼もたくさん頂戴していますが、広報担当は私を含めて東京に4名だけ。全国の店舗をカバーしながら残業をいかに減らすかが全社的なテーマとなっているため、「広報機能の強化」はイコール「業務の効率化」であり、いろいろと悩んでいます。

そんな中で、先進的なIT企業でもなく、ITリテラシーも高くない私がやってみたことを今日はご紹介します。

①  全部署のリリース配信のスケジュールを広報がコントロールしてみた

ほとんどの企業様はリリース配信のコントロールはごく当たり前のことだと思いますが、弊社は広報発のリリースの他に事業部の販促部署でも独自のプレスリリースを配信し、会社全体で年間約200本超のリリースがバラバラに出ていました。多い日には一日に6本リリースが出ることもあり、リリース間のカニバリはもちろん、広報内の業務集中にとても悩んでいました。

そこで全部署のリリース予定をOUTLOOKに入れて担当者全員とPR会社が共有し、開示日を調整することにしました。すると事業部担当者は露出のパフォーマンスを下げたくないので、他部署のリリース日を自然と避けるようになり、配信業務が立て込むことが減りました。

②  お客様相談システムを広報業務に流用してみた

私は2年前からカスタマーサポート部門を兼務しており、お客様相談業務のシステムを使っていましたが、[お客様からのお問い合わせを受付]→[店舗や開発など担当部署への確認・調整]→[お客様へご返信]という一連の流れは「お客様」を「媒体様」に置き換えればそのまま媒体対応の調整にも使えることに気付きました。そこでお客様メール対応のシステムを一部改修して広報業務にも広げることにしました。これによって従来のエクセルでの案件管理が不要になり、現場との連絡・調整に要するスピードがアップしました。さらに全ての案件がシステムに格納されるため取材傾向の分析などナレッジも蓄積できて一石二鳥となりました。現在媒体様から広報宛のご依頼は弊社ホームページ経由でお寄せいただくようお願いしています。そのほうが電話よりもスピーディにお応えすることが可能だからです。媒体様と広報間のやり取りが電話からメールにシフ トしている今だからこそ可能なことですが、働き方改革で定時後の携帯電話使用も配慮が必要になる昨今、こういったシステムの活用は広報業務改革のカギになるのではと考えています。

そんな感じで、決して洗練された取り組みではありませんが、色々な試行錯誤をしながら広報業務の効率化を追求したいと思っています。働き方改革の中で、広報業務はどこまで効率化と生産性の向上ができるのか?PRプランナーの皆さんと是非議論を深めたいテーマです。