VOICE of PR Planner (2018年11月)

PRプランナーはおもてなしの心を持つ翻訳業

株式会社東京地図研究社
佐藤昌貴

2017年7月アメリカサンディエゴ。食い入るように私のポスターを見て、笑顔で称賛の言葉をかけてもらえたときはしめたと思ったものです。
この時私は、地理情報システムソフトウェアの最大手Esri(エスリ)の巨大イベントESRIユーザーカンファレンスに参加していました。勤務するわが社がソフトウェアの販売代理をしている関係で、本場で最新情報を得るために十数時間空を舞ったのでした。
そしてもう一つのミッションがこのイベントで同時に開催されるマップギャラリーと称されるポスターセッションに出展することでした。私がアメリカに持ち込んだのは「日本における鳥の名前が付く地名と地形との関係性」と題したポスター。中身はその年の干支にちなんで“鳥”の名前が入った地名が地形とどういう関係があるのか、そして各地方で最も多い鳥の種類は何かをイラストと地形表現を交えてビジュアル化しました(もちろん英語表記)。
コンセプトは英語圏の人々に日本の国土と鳥をテーマとした地名との関係性とが地図を通じてわかりやすく伝わること。それをコアに制作していきました。戦略通り、会場に訪れた多数の国の人々(地理・地図好きな人たちだが)に注目を浴び、ICA and IMIA Recognition of Excellence in Cartography Award賞をいただきました。私だけでなく、コンセプトを理解しデザインをしてくれたスタッフ。拙い英語をチェックいただいた社長、送り出してくれた社員全員の勝利と思っています。

さて、現在地図を作る会社(正確に表現すると地図調製業)に属している人間が、なぜPRプランナー?と思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、制度がスタートした頃、私は広告会社に勤務していました。その頃広報・広告業界に資格はなく、実力としての証が得たく、私の心は揺さぶられました。
第二回の試験に合格し(第一回は申し込み期日を間違える失態)、晴れてPRプランナーになることができました。

縁あって、現在の会社に就職し、さて自分のスキルをどのように発揮するべきかと思案しましたが、幸いなことにチャンスを得て、営業と広報部門を担当する部署に配属。会社案内やノベルティ、SNSなどを担当しました。
地図調製業は測量技術と切っても切り離せない関係です。専門用語や数字が飛び交う世界。飛び込んでわかったことは、極めて専門的でテクニカルな世界であること。対外的な発信をする場合に今まで培ったノリも含め、わかりやすく、楽しい感じを醸成することを心掛けました。
いわゆるキラーコンテンツを有しない中小企業が、いかにセルフプロデュースするのか、関係学会や同業種のイベントブース出展では、気をてらいすぎた出し物をしてしまったかなと反省半分、今までにないことができたのではないかと思っています。
カーナビに始まり、スマホの地図アプリや乗り換え案内アプリなど位置情報に関わるコンテンツに誰しもが簡単に触れ合える時代がやってきました。位置情報のベースを支えている自負はあるのですが、まだまだセルフプロデュースできていないのは事実で、有資格者として自社への貢献をさらにしていきたいと考えています。

お世話になった経営コンサルタントの方がこう言いました「経営(けいめい)はおもてなしである」と。私はこの言葉に感銘を受け、コミュニケーションを司る者として、おもてなしとはわかりやすく伝えることであると考えました。それは現在の職場でも変わることはありません。
私は思います。PRプランナーはおもてなしの心を持つ翻訳業であると。
今もこれからも、未知のものをいかにわかりやすく、伝えたい側の意図を確実に伝えられる力量が試される資格ではないかと考えています。