VOICE of PR Planner (2016年12月)

PR構築は戦略経営の一丁目一番地  

合同会社ローカルデザインネットワーク

斉藤 哲也

  仕事を通じてわかった課題の本質 地域活性のコンサルタントとして長年活動してきました。依頼の多くは、「地域の課題を解決して欲しい」というものです。ところが、期待に応えるべくヒアリングを重ねると、そのほとんどが「見かけの課題」であり、その奥にもっと根源的な「真の課題」にあることがよくあります。 そして経験を重ねてみると、「真の課題」の9 割は、「コミュニケーション不全」に起因することが見えるようになりました。実は、企業の場合も地域の課題とまったく一緒です。というのも、地域も企業も、すべてのコミュニティは人の集まりで成り立っており、コミュニケーションを避けて通ることはできないからです。 特に企業では、顧客、株主、取引先、従業員、地域、さらに時には競合となる同業者とも、コミュニケーションをとらねばならず、永続的に繁栄するには、あらゆるステークホルダー(=パブリック)と良好な関係を構築する「戦略」が必要です。そもそも「戦略」とは、「戦いを省く」こと。コミュニケーションによって無用な戦いを避ける。これこそが最も効率的で効果的な組織繁栄の戦略と言えます。 PRスキル向上が必要となった訳 そこで私が必要としたのが、関係構築の基礎となるPRの知識です。 前職では、映画やドラマのロケを活用し、企業や地域のPR構築を支援する仕事をしており、経験に応じて成果も出ていました。お金を払ってメディア露出するのが「広告」、お金をかけずにメディア露出するのが「広報」だとすれば、お金を稼ぎながらメディア露出する「ロケ」は、第3の新しいPR手法として注目され、今では、訪日客誘致の切り札として国策にも採用されるようになりました。 しかし、ロケを活用したPRは、この業界では特殊な手法であり、その長所と限界を知るには、PRを一から勉強することが不可欠でした。そして、改めて勉強してわかったのは、プレスリリースの投げ込みはPR活動のほんの一部に過ぎず、PRはまさに戦略経営の一丁目一番地だということです。 PRプランナーはスタートライン 私にとってPRプランナーの資格取得は、戦略経営を学ぶための最短の近道となりました。幅広いPRという仕事が、どのような経緯で現在に至り、攻めと守りでどのような役割を果たしているのか、今まで知らなかったことを学ぶことができます。 私自身、それまでの知識が如何に偏り、PR業としての実力がどのレベルに位置するかを理解できるようになりました。さらに、資格は最低限の基準をクリアできたという自信と、PRの基礎を身に着けたという社会的な評価の証をもたらしてくれます。 とはいえ、資格取得はスタートラインにすぎません。 むしろ、取得後の実践と経験の蓄積が何より大切。その意味で、今後どのような道を進むべきかが明確になり、いわばPR業界の航海図を得られたことは、大きな収穫となりました。 戦略経営を行うには、パブリックな関係の構築が最優先事項です。その先にある信頼やブランドは、関係構築の積み重ねの上にしか築けません。だからこそPR構築が何よりも大事。さらにPR担当者だけでなく、組織を構成する一人ひとりが、この経営の基本を習得すれば、時代の変化にも耐えうる強い組織が生まれるはずです。 そのためにも、ぜひ多くの社会人に、PRプランナーという業界の航海図を手に入れて欲しいと思います。